昭和36年松下幸之助は京都の真々庵(しんしんあん)でPHP研究を再開したが、翌37年2月、庭園の一隅に根源の社(やしろ)を設けた。その後、昭和42年、PHP研究所が京都駅八条口前に移転した際にも、ビル内にこれが設置され、さらに昭和56年、松下電器本社敷地に建設された創業の森の一隅にも設けられた。
 根源の社設立の趣旨については、創業の森の根源の社前に立てられた掲示に、次のように簡潔に説明されている。
 「宇宙根源の力は、万物を存在せしめ、それらが生成発展する源泉となるものであります。
  その力は、自然の理法として、私どもお互いの体内にも脈々として働き、一木一草のなかにまで、生き生きとみちあふれています。私どもは、この偉大な根源の力が宇宙に存在し、それが自然の理法を通じて、万物に生成発展の働きをしていることを会得し、これに深い感謝と祈念のまことをささげなければなりません。
  その会得と感謝のために、ここに根源の社を設立し、素直な祈念のなかから、人間としての正しい自覚を持ち、それぞれのなすべき道を、力強く歩むことを誓いたいと思います」
 宇宙根源の力とその働きである自然の理法は、松下幸之助がPHP理念を考えるにあたってその基本においた概念で、松下幸之助はPHP研究所や真々庵を訪れた際には、必ずこの根源の社の前で手を合わせ、祈りを捧げてからその日の日課にかかっていた。

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